2017年06月19日

あんたケチだね・・・

夕方、食堂でのお話。
実習生がお盆を片手にお茶を各テーブルに配膳している。
ちょうどその時間、4か所のテーブルのうち2テーブルには入居者は席に座っていない。

その光景を眺めていた入居者Qさんが同じ席に座る入居者に話しかけている。

Qさん「座っていないところにお茶配らないで、座ってるこっちに配れば良いのに、おかしいんじゃないかい」と

また、お茶が配られたら配られたで
Qさん「お茶だけ配って、お菓子の一つもないのかい、ケチだねぇ〜ここは」と目をとがらせている。

『お茶は熱めの方が好きだと思って、最後に持ってきましたよ』
『私もケチだなぁ〜て思ってます。Qさんの傍にずっといるのにいつまでたってもお菓子が出てこないので。おかしいかな?お菓子だけに』

Qさんは笑顔で「何おかしなこといってんのさ」と。




この仕事をしていて嬉しい事は感謝の言葉を直接耳にすること、というのが介護職にとって一番多い意見だと思う。様々な職種の中でも圧倒的に「感謝される」喜びを感じるのが、医療系だったり、介護系の職業だと思われる。

お店に入ってレジの店員が『いらっしゃいませぇ〜』などと声を掛けても多くの来店客が無言を貫いている(ちなみに私は、ついつい反応して応えてしまう)。店員も多分返答など求めてもいないはず。
そして、お金を払うお客さんが『ありがとう』などとの言葉を発する事もなかなかないだろう。

介護現場の場合、求めていなくても多くの場合、「ありがとね」と、お金を払う側の入居者から感謝の言葉を得る事が非常に多い。


口に出る言葉が、「いつもすまないねぇ」「ありがとう」などとの感謝の言葉だけではなく、時にはめげそうになるような言葉を介護職員に発せられることもしばしば。
しかし、そこで言い返して口喧嘩してしまったり、言葉や態度で圧力をかけたりするのはプロとは言えないず、いわゆる身体拘束や虐待になりかねず、下の職員から手本となる人材にはなりえない。

だが、一人になり、帰りの車の中で思い出し、へこたれてしまいそうになることもあるのが介護職員。
ぐっと耐え忍んだり、気持ちを昇華させたり、リセットするなどし怒りのコントロールを行っているもの。

認知症が重度高度になるにつれ一つの光景を眺めても思いを口に発する事をしなくなったり、無気力に映ってしまったりと、なかなか自身の思いを発する事が少なくなってくる。
発する事が出来ない方だと、その方の思いをくみ取るのに一苦労も二苦労も。
発してくれるのが、例えそれが憎まれ口であろうとなかろうとニーズやデマンドを知るうえでどれだけ楽になる事か。言葉を発してくれるのはありがたい事。

もしも気管切開し、寝たきりとなり、意思の疎通がままならない状況の入居者にとっての「ニーズ」や「デマンド」を理解するってなかなか難しく、ついつい職員本位のとらえ方にもなりかねない。

また、コミュニケーション技術で、それら苦言をいかに笑いに変えられるかも専門職者としての技量と言えるだろう。

決して、大リーグのイチローのようにヒットを日米通算で4000本打ったとか、王さんがホームランを800本以上打ったとか、数字に変えられない凄さの評価が、介護職員にはある。

試験問題には出てこない、介護の知識や技術とは別の、「現場力」をもとに介護職員はへこたれそうにながら頑張っている。





posted by 管理者 at 19:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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