2019年03月06日

ひとくくりにできない・・・多様性

高齢者の施設というのはいくつも種類がある。

特別養護老人ホーム、地域密着型特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設、
特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、小規模多機能型居宅介護、などなど。


これらについて違いを説明できないと介護支援専門員にはなれないし、実務が出来ないであろう。

何故ならば、一般の要介護高齢者やその家族からのニーズに対し、適切な提案や説明が求められるから。
どう考えても、名称がわかりづらいし、法的にも、老人福祉法や介護保険法によってもその名称は異なってきたりするから厄介。

本当にわかりづらいし、制度がコロコロ変わるのでとても覚えるのに困難。


今回、種類についての講釈ではなく、ひとくくりに「施設」「老人ホーム」「特養」って言っても様々というお話。

そして、「特養」というものでもどこも同じだと思われそうですが決定的に違ったりします。

当施設は「地域密着型」というのが冠についている。
冠と言っても、決してえらいわけではない。


端的に言うと、「地域密着型」の特養はその市町村に住民票がある方でなければ入居利用できない。
この事を知らない居宅介護支援事業所の方も意外と多い。

認知症対応のグループホームも、「地域密着型サービス」であり、他の地区に住民票があるとすぐには入居できない。

ただし、ローカルルールが良い悪い別にして各市町村にあり、「住民票異動即入居」が可能なところもある。

恵庭市の場合は、原則そうはいかない。


こういった話の講釈をしたいわけでもなく、本題。


特養など、老人ホームというのは制度上の大きな違いはあるものの、もっと決定的に違いが出るのは、

そこで暮らしている入居者、そこで働いている職員によって施設の雰囲気などすべてが変わる。
当たり前の話のように聞こえるが、事業所を1か所しか知らない方にとっては違いが無いと勘違いされやすい。


そこで暮らしている方の要介護度は大きな違いを産む。
特養は平成27年度より原則、要介護3以上でなければ入居できなくなった。

では要介護3というのはどういった状況か。

身体的な重介護を要する要介護3と認知症による要介護3では明らかに違いがある。
わかりやすく言うと、要介護5というのは布団の上で自らの力で寝返りがうてない状況の方が多いが、
認知症の周辺症状(BPSD)が関係して要介護5と認定された方の中には、寝返りも、歩くこともできる方が存在したりすることも。

車椅子を利用している要介護3の方もいれば、歩いて一人で外を歩いても転倒のリスクのない要介護3と認定される方もいる。

この事は非常に介護職にとって大きなポイントとなる。また、施設運営においても大きな視点。

要介護5と認定されている方の介護報酬は要介護3よりも上がる。

ちなみに、ユニット型の特養(個室利用)の場合の要介護5で1日841単位。要介護3の場合で、1日704単位。
その差は、137単位。

この報酬単価をみても厚生労働省としても、特養は要介護4から5の対象者を入居するよう推奨しているのがうかがえる。

しかし、要介護3ははたして楽なのか?というとそう簡単ではないし、何をもって介護が楽であると判断するかにも関係してくる。


認知症の症状、BPSDがあると、人手と時間を要する。歩くと危険であるとの認識や病識が少ない要介護3と認定された方の場合、
転倒するリスクが非常に高かまる為、更に、更に安全への配慮の為に人手と時間を要する。

決して、要介護4〜5の方への介護では少人数で十分という話ではない。


ひとくくりに要介護平均が3前後で得られる収入と平均4〜5前後とでは、
収益差がありつつも人手が必要(人件費増)となる。


1日137単位違うという事は、137単位×10円=1370円、これが1か月だと、

1370円×30日=41,100円の差となる。

しかも10人違うと、41,100円×10人=411,000円の収入差が生まれる。
各種社会保険料込みで一人以上の人件費が創出される。

また、転倒のリスクが無い場合、転倒による骨折、入院、といったリスクも抑えられる。
ただし、要介護4〜5となれば、食事への嚥下や医療ニーズが高まり要介護平均3前後とは別のリスクが発生する。


要介護3前後の場合、転倒のリスクへの対応に気を割かなければならない。
その場合、こちらで立ち上がっているから付添い介助する、といった簡単な対応では済まない。
その場を一人離れるという事は、他所では人の目が2つ減るという事。

離れると、どうなるかという事を考えないであっちこっち動く職員は他の職員にとって非常に負担がのしかかる。
逆に動かなさすぎる職員がいると、様々な業務に制限がかかる事になる。


「(私はこの方の対応をしますから、あなたはこの場を見ておいてください)」といった連携や意思疎通が求められます。
入職した場合には、単に転倒リスクがある方への対応ができるかどうかだけではなく、
「連携」が重要になる。

おしゃべりばかりして、動かないような職員ばかりがいると、現場は大変です。

現在はそのような環境ではないが、当施設もかつてはそのような現場でした。
よって介護職員に合わせた「入居者」でなければ、『この○○さんは大変だ』というレッテルをはり、
『特養の対象ではない』『出て行ってもらえないか』などと話す職員が
実際に存在していた(そのような職員はかつて自ら退いてもらったため、現在は改善されていった)。

職員にとって働きやすい職場は、入居者にとっても過ごしやすいかというと一概には言えない。

働きやすさの定義をどこに置くかによる。


よってそこで暮らす方、更にはそこで働く方によって生活風景や、入居者にとっての受けられるサービスといったものは大きく変化する事が言えるわけで、しかも人員体制がこれに大きく影響され、19名の定員を1名の夜勤者で対応しなくてはならない職場もあれば、
当施設のように夜勤者2名体制という職場もある。

2名だから楽なのか、入居者視点で言うところの手厚いと言えるかというと、
これまたそこで暮らす方の要介護状況と介護職員の力量が影響する。

だからこそ、実際に介護現場を見学し、入居者の状況を確認したり、
そこで働いている職員をがどういった方々なのかを見てみる必要がある。


見学抜きでその施設入居を決めたり、入職を決めるというのは冒険と言わざるを得ない。

様々な事情があろうとも、「肌で感じる」必要が介護現場、老人ホームの選定には必要だと思う。
「こんなはずじゃあ」という思いは大なり小なり、出るもので誤差を少なくしておくことは大切な事。

入居費用がいくらかかるか、基本給がいくらもらえるか、建物が新しいか古いかというのも
「入居」「入職」における選定条件にとっては重要な要因と言えるが、安直に考えると痛い目に合う。


「隣の芝生は青く見える」と、よく言われる事があるが

そこで暮している方が入退去したり、そこで働いている職員の入退職によってその環境が
大きく変わったりしやすいのも介護現場だから。


posted by 管理者 at 23:48| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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